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FEATURE
西表島に残る大自然のために僕たちができるコト。
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“Us 4 IRIOMOTE” Project by KEEN

西表島に残る大自然のために僕たちができるコト。

アウトドアフィールドからタウンユースまで、いつも僕らの足元を支えてくれる〈キーン〉がスタートした「Us 4 IRIOMOTE ~西表島の明日に私たちができる、4つのこと。~」。これは、沖縄県は西表島の大自然のため、アウトドアに関わるブランドの責任を果たす目的の一端で発足した新プロジェクトです。ここでは先日行われたメディアツアーで実際に西表島に赴き、そこで体験した素晴らしい自然環境と、その奥の方から見えてきた島が抱える数々の問題を紹介していきます。

  • Photo_Choji Nakahodo
  • Text_Junpei Ichikawa

思わず息を飲むほどの大自然が広がる沖縄県・西表島。

皆さんはこれらの大自然溢れる景色を見て、どんなことを想像しますか?

見渡す限りに広がる白い砂浜、エメラルドグリーンのビーチ、マングローブのある湿地帯、夜には蛍が飛び交う森、見たことがないほどの星空。そんな、南の島というワードから想像できる情景の全てが揃っているのが西表島です。

実は、沖縄県内で2番目に大きい面積を持ちながら人口はわずか約2,400人ちょっと。島の約90%が亜熱帯の原生林に覆われた、まさに手つかずの大自然が残る日本最後の秘境の島です。島内には空港がなく、アクセスは石垣島から出ている定期船のみ。東京からは接続がうまくいっても約5時間はかかります。ちなみに島内に流れる仲間川流域のマングローブは、日本全体のマングローブ面積の約1/4を占めるほど広大。島に着くと、そこにはとても同じ日本とは思えないような素晴らしい大自然が広がっています。

西表島の大自然が現在抱えている大きな問題点。

国内有数の大自然と貴重な生態系が残る西表島ですが、他の自然豊かな場所と同様に近年ではその環境破壊が問題となっています。まず大きな問題が2つ。

1つは観光客の増加に伴って起きてくる、交通量の増加や大型施設の建設によるもの。そして2つ目が海洋を漂う大量のプラスティックゴミなどが島に漂着することで、美しいビーチやマングローブが破壊されてしまっていることです。とりわけ漂着ゴミの問題は深刻で、国内はもちろん目と鼻の先にあるアジア圏から流れてくるゴミは90%以上がプラスティック製で、もちろん自然に還ることもありません。毎年訪れる台風シーズンや冬の季節風のシーズンには大量のゴミが海岸線やマングローブのみならず、その奥にある森の中まで海流で押し寄せ、また、逆に漂着ゴミが海へ再流出する状況で、表面的には美しい自然の景観が広がっていても、一歩裏側まで足を踏み入れてみると、そこには目を覆いたくなるような光景が広がっている場所がいくつも存在します。

もちろん自治体や自然保護団体、有志が中心となってビーチクリーンなどの活動を行ってはいますが、ゴミの量は一向に減らない。さらにこれらの漂着ゴミは一般ゴミではなく産業廃棄物扱いとなってしまうので、遺棄するのにも膨大なお金がかかります。ここに人手と資金の圧倒的な不足という大きな問題が起きてしまっているのです。

世界中でこの島にしか存在しないイリオモテヤマネコの絶滅危機。

また、漂着ゴミと並んで大きな問題となっているのが西表島特有の貴重な生態系が破壊されてきている現状です。特に、世界でもこの島にしか存在しない固有種で絶滅危惧種に指定されているイリオモテヤマネコの数は年々減少の一途を辿ってしまっています。

理由の1つとしては、近年島を訪れる観光客が増えてきたことに伴う交通量の増加によって、道路に飛び出してきた動物を誤って轢いてしまう事故が多発していること。しかし、電車が通ってない島内での生活には車は必需品。そこで、自治体では島内を走る車に昼夜問わず40km(町・村の中は30km制限)の速度制限を呼び掛けていて、万が一イリオモテヤマネコをはじめとする動物たちが飛び出してきても事故を防げるように努めています。「やまねこパトロール」が島民と一緒になってとりわけ事故の多いエリアを重点的にパトロールしながらスピード規制の呼びかけを行ったり、地元の小学校とも連携して子供たちが手作りした看板を主要道路の脇に設置する活動など、今日まで様々な活動が行われてきています。

今KEENにできること、僕たちにできること。

これら多くの問題を解決する一助になるために発足したのが、〈キーン〉の「Us 4 IRIOMOTE ~西表島の明日に私たちができる、4つのこと。~」プロジェクトです。「知ろう」「守ろう」「話そう」「残そう」という4つのキーワードを掲げて、ブランドを常日頃から愛用する人にもそうでない人にも、西表島が直面している多くの問題を伝えていく取り組みを行っています。

また、今後の世界自然遺産登録を目指す動きによってますます増えていくであろうツーリストに向けて、啓蒙活動の手助けを行っていくことも大きな活動の1つです。これまでのリゾート地で行われてきた「消費型の旅」を見直して、その場所を訪れることで土地の現状を知り、理解してもらうことで、何かしらその場所に対して自分なりの善い行いをして帰るという「エシカル・ツーリズム」(貢献型観光)を推奨することで、西表島を訪れた人々が単純なリゾート観光だけでは経験できない、質の高い体験をする手助けを行っていきます。

具体的には、「Us 4 IRIOMOTE」基金を設立して、企業からの協賛や個人からの寄付を募っていく他、〈キーン〉の代表モデルである「UNEEK」の最新モデル「UNEEK EVO」にイリオモテヤマネコからヒントを得たパターンを施した「IRIOMOTEパック」を製作し、その売り上げの10%をこのプロジェクトへと活用していきます。ここで集まった基金は、先述のような「エシカル・ツーリズム」の啓蒙活動や、動物・自然保護団体の支援、西表島に関するドキュメンタリー映画の製作などに役立てられていく予定です。

まず興味を持って現状を知る。そこから自分なりのアクションを起こして、それを周りに伝えていく。どんなことを始めるときも同じですが、西表島の大自然を通して伝えられるこのプロジェクトでは、今後も引き続きそんなキッカケをより多く発信していきます。

西表島の豊かな自然を守り、伝統文化を継承していくのは、そこで暮らす人たちだけに課せられた使命ではありません。島の現状を知り、明日のためにできること考えるのは、旅行者の立場にも求められていること。必要なのはルールではなくモラル。少しの意識の変化が、西表島の明日をつくるのです。Us 4 IRIOMOTEのホームページ、Instagramは下記からどうぞ。

今回のツアーをサポートしてくれた西表島の人たち。

紅露工房の石垣金星さん・石垣昭子さん

西表島で染織工房を営む石垣さんご夫妻。島に古くから伝わる文化を継承し、またその自然を守っていくために長年に渡って活動してきたお二人は西表島で知らぬ人がいないほどの有名人。また国内外から彼らのもとで学ぶために多くの人も訪れています。ツアーでは実際に染物を体験したり、島の民謡を歌って頂いたりしました。
www.facebook.com/kuurukoubou

西表島エコツーリズム協会の徳岡春美さん

2日目に訪れたエコツーリズム協会では、徳岡さんの説明のもと島の歴史から成り立ち、現在起きている問題点などを説明して頂きました。
www.iriomote-ea.com

JTEF西表島支部やまねこパトロール
西表島支部事務局長 高山雄介さん


イリオモテヤマネコの保護活動を行っている「やまねこパトロール」の高山さん。宿泊先でイリオモテヤマネコの置かれている現状を説明して頂いたり、実際に地元の小学生と注意看板を設置しているところを見学させてもらいました。
www.jtef.jp/showcase_yamaneko_03_06.html

西表島バナナハウス 森本考房さん

エコツーリズム協会の一員で、ジャングルのガイドやビーチクリーン活動も牽引している「西表島バナナハウス」の森本さん。実際にツアーで森の中をガイドして頂き、ビーチでは今まさに直面している漂着ゴミの問題を説明してもらいました。
www.iriomotenature.com

INFORMATION

KEEN Japan
電話:03-6416-4808
keenfootwear.com
Us 4 IRIOMOTE:www.us4iriomote.org
Instagram:www.instagram.com/us4iriomote

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