Travel trail with KEEN “TARGHEE”
KEEN “TARGHEE”で体感するトラベルトレイルの楽しみ方。
〈キーン(KEEN)〉のトレッキングカテゴリーでロングセーラーを続ける「TARGHEE」シリーズ。今回は、そんな名作の15周年を記念したリミテッドモデルを履いて、その機能性を体感するため実際にトレッキングへ赴いてきました。〈キーン〉アンバサダーとしても活躍する登山ガイド・高千穂有康さん先導のもと参加してくれたのは、アウトドア好きのスタイリスト平野くんとその友人たち。目指すは中央アルプスの最高峰、標高2,956メートルの木曽駒ケ岳山頂。澄み渡った青空と息を飲むような絶景に期待で胸を膨らませていましたが、天候は急変して当日の予報は曇りに。なんなら雨風もまぁまぁ強いと…。しかし、それが結果として山登りの醍醐味と、「TARGHEE」のポテンシャルを思う存分体感することになりました。雨風吹き荒れる10月初旬の木曽駒ケ岳アタックwith〈キーン〉。ぜひご覧ください。
- Photo:Fumihiko Ikemoto
- Mountain guide:Ariyasu Takachiho
- Model:Toshihiko Hirano, Masato Tanita, Sarasa Yoshioka
- Text:Jumpei Ichikawa
- Edit_Jun Nakada
目指すは標高2,956メートルの木曽駒ケ岳山頂。
まずはトレッキングの心得から!
今回ガイドしてくれたのはこの方!
高千穂有康
世界124カ国訪問&七大陸制覇。世界七大陸最高峰/5座登頂。日本全47都道府県の山に足跡を残す。広範囲にわたる知識と経験、そしてそこに裏付けされた細かな気配りと斬新なアイデアを併せ持つ、登山やトレッキングのスペシャリスト。今回は山登りの初心者たちに基礎知識を含めて登山の醍醐味を教えてくれた。
今回4人が訪れたのは、中央アルプスは木曽駒ケ岳。撮影当日は10月初旬で、ちょうどほんのりと山の木々も紅葉で色付き始めた頃合いです。天気は厚い雲に一面覆われたまさに曇天。最後まで雨が降らないといいのですが…。
まずは、今回の企画テーマである「TARGHEE」について。今日各々が着用しているのは、今シーズンで誕生15周年を迎える「TARGHEE」シリーズ最新作。ブランド創業初期から続く、ロングセラーのトレッキングシューズです。アッパーヒール部分に15周年を刻印したデザインが入ったスペシャル仕様で、ミッドカットの「TARGHEE MID WP LTD」とローカットの「TARGHEE WP LTD」の2モデルをメンズ・ウィメンズで展開。カラーリングも15年前にリリースされた当時のものを踏襲しているのだとか。
メンバーそれぞれがお互いに挨拶を終えると、早速高千穂ガイドからトレッキングに適した正しいシューレースの結び方を教わります。
「最初につま先を上げて、自分の踵を靴の後ろにしっかりと密着させてください。甲の高くなる手前部分の紐を少しきつめに締め足を靴の中で固定します。これでつま先が靴の先に当たらなくなります。紐の足首部分だけをキツく締めるだけだと、靴の中で足が動くので長時間や急な下りを歩くと疲労や指先が靴に当たり痛くなったりする原因となります。そして最後の結び方は、まず通常1周だけの結びを3周にして、蝶々結びの後の蝶々をぐるっともう1固結びすれば解けない紐の結び方の完成。これで足と靴が一体化ししっかりホールドされるのでシューズ本来のフィット感が発揮されるし、靴ズレなども起こりにくいので、とても歩きやすくなるんですよ」と、高千穂ガイド。
準備を整えたら、さっそく最初のブレイクポイントを目指してトレッキングをスタート。歩き出して早々、みんなからは「シューズが足にフィットしてめちゃくちゃ歩きやすい」「いつもよりしっかり固定されてて安定感ある」「結び方を正しくするだけでこんなに違うんですね!」と驚きの声が聞こえてきました。
「登山中に石の上を歩くとき一番危ないのが、重心がぐらつくこと。それを避けるために膝から上は一体で動くこと。そして急な登りで息が乱れてきたら小股歩きをすることで呼吸が落ち着きます。歩数を減らそうと大股歩きしちゃうと呼吸が乱れるので、まずは慣れるまで焦らず! また、大きな段差では後ろ足を一段上の前足の横に揃えると楽ですよ」、という高千穂さんのアドバイスに対して、「階段を上るようにするんじゃなくて、一歩ずつ足を揃えるんですね。なるほど! 確かにそれだけで足元が安定するし、ラクに進めますね」と、平野くんも納得の様子。
30分ほど登ったところで冷たい雨が降ってきて、一同険しい表情に…。でも、みんなしっかり防水性のあるシェルジャケットとパンツ、インナーには各々フリースなどのセカンドレイヤーもちゃんと着込んでいるので保温性はバッチリ。カメラを向けられればハイポーズ! まだまだ余裕です。気づけば出発地点だった赤い屋根のロープウェイ乗り場から、もうこんなに歩いてきました。
「みなさんここで先に下山の方を通しますので、足場のいいところで止まってください」と高千穂ガイド。吉岡さんの「高千穂さん、登山は登りが優先が基本では?」という質問に、「優先は必ずしも先に行くだけではなく、“登る” “譲る”を決める優先とも言えます。そこは状況次第で変わります。今日は僕らの人数が多くて列も長いので、先に下りの方を優先しましょう。すれ違う時は基本、山側に立って山側にリュックを向けて立ってください。そうじゃないと、もしすれ違いでぶつかったりしてしまったときに谷側に立っていたら滑落しちゃうでしょ。山では身体の向きひとつで危険を避けられるので、こういった細かなこともちゃんと覚えておきましょうね」との返答が。当たり前のことかもしれませんが、こういった心得が登山をより楽しいものにするのです。
そんなこんなで、あっという間に最初のブレイクポイントへ。ここまで1時間半の予定が、みんなペースが速くて1時間ちょっとで到着。撮影隊も後ろから付いていくのがやっとです。
各々水分補給したり、チョコやナッツを食べながらちょっと一息。「山って面白いですね。街ですれ違っても挨拶なんてしないのに」と言う平野くんに続けて、「確かに普段はあまりしないけど、さっきから気づいたら、すれ違う人へ向けて『こんにちは』って声が出てるよね。海外でも登山中は普通に挨拶するんですか?」と谷田くん。「普通にみんなしますよ。ヨーロッパにモンブランという、見るからに白い雪がモコモコフワフワとした尖ってない山があるんですけど、そこを1週間ほどかけて1周するトレッキングコースがあるんです。とても大きな山なのでコース中にフランスとかイタリアの国境を超えるんですけど、そこでみんな『ボンジュール!』『ボンジョルノ~!』って、その国の言葉で挨拶するんです」と、これまで名だたる世界の山脈を制覇してきた高千穂ガイドの言葉に、「えーすごい楽しそう! でも1週間ずっと歩きっぱなしはちょっと…(笑)」と話す吉岡さんの笑顔につられてみんなも笑顔に。
雨降り仕切る中、いざ山頂へ!
しばしの休憩をはさんだ後、次はいよいよ尾根をつたって山頂へ。標高が上がるにつれて次第に周囲の緑が森林限界で少なくなり、足元にはゴロゴロした岩場が目立ち始め、急な傾斜も増えてきました。そんな中、高千穂ガイドからのアドバイスを聞きながら、みんな焦らず少しずつ足を運んで山頂を目指します。
「険しい場所や足元が岩や石で不安定な所は、手も使ってOKです。下りでダメなパターンは、足が届かないとか、滑りそうで怖いから座りこんでお尻でズルズル降りること。足に重心が乗っていないのでバランス崩した時に対応が遅れたり、座った石ごとズルっと落とすことも。なので、手はついていいけどお尻はつかないようにしてくださいね」と、高千穂ガイド。そして一向に止まない雨。吉岡さんが続けます。「手袋が雨で濡れて絞れるぐらいビショビショなんですけど…」。すると、「もしグローブが濡れて手が寒くなってきたら、手袋をとってまずは絞る。そのあとは手袋の中と手にはぁーっと息を吹き込むと少し温まります。あとは指をグーパーグーパーと繰り返し動かしてみてください。ほら、手が少し温かくなってくるでしょ? 以前アラスカに行った時も、朝はいつもそれからスタートしてましたね」と言う高千穂ガイドの的確なアドバイスに、他のメンバーも早速試していました。薄手のグローブに防水手袋を重ねるのもおすすめだとか。
そもそも、軽量かつ心地良い履き心地から、デイハイクの決定版として人気を集めてきた「TARGHEE」シリーズ。こういった足元が不安定になる岩場では、とりわけ足裏の形状に合う屈曲生とクッション性に優れたインソール、足のねじれを防ぐミッドソール中足部のESSシャンク、グリップ力に優れたアウトソールの3つからなる抜群の安定感を実感できました。みんな猛烈な雨風にも関わらず、意外とスイスイ足を運べたのもそのおかげ。
そうして、ようやく木曽駒ケ岳の頂上に到着。ここが中央アルプスの最高峰で標高2,956メートル地点。お決まりのハイタッチでゴールして、休憩を入れつつここまでの約2.5時間という険しい道のりを終えたことを称え合います。
当日はあいにくの空模様で辺り一面真っ白でしたが、本来であれば中央アルプス一帯をぐるりと見渡せる絶景が広がっているとのこと。この日も時折、雲の切れ間から覗く山間の景色は思わず息を飲む美しさ。過酷な状況だった分、喜びや達成感もひとしおです。
「そういえば高千穂さん、今日は平気なんですけど高山病ってどんな症状が出たら疑った方がいいんですか?」と言う平野くんの質問に高千穂ガイドが答えます。「高山病初期症状の前に身体から合図があります。それはあくびです。基本あくびは、疲れている時や寝不足の時などの酸素が十分に取り込めていない時に出ます。そのタイミングでしっかり腹式呼吸などすると良いですよ。その次の症状としては初期症状として偏頭痛。疲れている時(体力低下)や寒い時や酸素不足になると、心臓からの血液や酸素のポンプ力が弱まり末端まで血液が届かなくなります。末端系の血管が細いということもあり、手足が冷たくなったり、脳への酸素供給が低下するから痛くなったりするんですよ」。
「なるほど、だから手や足の指先から冷たくなっちゃうんですね」と平野くん。「そういうことです。偏頭痛。これはいったん始まると結構きついですね。だからお湯などの水分を小まめに摂って、水分によって常に血液をサラサラにして酸素を循環させないといけないんです」。
「高山病の予防薬ってあるんですか?」と谷田くんが続けます。「ありますよ。錠剤の薬! 日本では処方箋要りますけど、アンデスやヒマラヤに行くと普通に薬局で買えます。でも、最初から薬に頼りっきりになるんじゃなくて、まずは正しい知識として自分でできる対策①腹式呼吸でいっぱい酸素を取り入れる、②1日3〜4リットルの水分補給、③ゆっくり行動を身に付けておくことが大切ですね」。
無理せず、徐々に高所順応していくこと。高千穂ガイドの言葉にはたくさんの学びがあることが分かります。
冷え切ったカラダを温めてくれる美味しいご飯は下山時の活力。
登頂を終えたメンバーは下山途中、中腹にある山小屋で昼食を取ることに。この日のランチメニューは高千穂ガイドお手製のサンドウィッチとチゲ鍋。みんな寒さで固まった身体が芯からほぐれていきます。食後には温かいコーヒーも。これがまた格別なんです。たくさん食べて休んでしっかり英気を養ったら、いよいよ下山です。
下山の途中、降り続いた雨もようやく少し落ち着いてきて、みんなの表情も心なしか明るくなってきた様子。ところが、足元に目をやるとそこら中に1日降った雨のせいでそこら中に水溜まりが…。それでもみんなが軽やかに歩けたのは、〈キーン〉が独自開発した防水透湿素材「KEEN.DRY」の賜物。靴の内側に蒸れにくい防水素材を施しているので、こんな水溜まりの中でも気にすることなくどんどん歩けちゃうんです。さらには小石が多い不安定な足場でも、アウトソールのグリップが良いので歩きやすい。まさに「TARGHEE」さまさまですね。
「山登りの下りは体力的には楽になるんだけど、膝や腰には登り以上に負担もかかっているので、油断は禁物。みんな最後まで気を抜かずに歩きましょう!」と、高千穂ガイドの言葉に全員あらためて気を引き締めて下山します。
トレッキングの醍醐味を堪能したメンバーには笑顔が溢れていた。
というわけで、全員無事に下山。過酷なコンディションだっただけに自然と笑みも溢れてきます。最後は入山口にある小屋の前に並んで記念撮影をパチリ。これにて、ハードだったトレッキングツアーも終了です。
最後は今回参加してくれた3人に、それぞれ「TARGHEE」を1日履いてみた感想を伺ってみたので、参考までにどうぞ。
平野俊彦くん
「最初は新品の状態で履いて、靴ズレなどで疲労が出やすくないか少し心配だったんですけど、終始履き心地が良かったです。素人で技術もなく、しかも今日は雨で滑りやすい状態でしたが、一度もスリップせずにトレッキングが出来たことで機能性も実感できました。雨の日や屋外での作業時など、普通のスニーカーでは頼りない時、機能性を必要とした場面で今後も履きたいですね」
谷田誠人くん
「自分が持っているトレッキングシューズよりも軽く、ソールの固さもちょうど良かったです。特に高千穂ガイドの指導もあり、正しい靴紐の結び方をした際に感じたフィット感や防水性の高さ、濡れた石を踏んでも滑りにくいソールの強さは印象的で、15年も愛される理由が分かりました。これからもキャンプやハイキング、アウトドアや自然の中で過ごすときには着用するつもりです」
吉岡更紗さん
「正しい履き方をするとことでまったく靴ズレしなかったのには驚きました! いつも登山すると痛かったスネの辺りが今回は全然平気だったことにもびっくり。しっかりホールドされて、守られている感じというか、足と靴の一体感が感られました。雨の日はもちろん、普段のファッションにも取り入れられるようなデザインなので 今日はたくさん歩くぞ! って時に履きたいです!」
TARGHEE以外の名作モデル。
“TARGHEE”シリーズ以外でも、〈キーン〉にはハイク・トレッキングから街履きまでカバーしてくれるシューズが豊富にラインナップ。ここでは当日撮影隊も履いていた他のモデルも紹介します。
今回のトラベルトレイルの模様をムービーでも紹介!
INFORMATION
KEEN Japan
電話:03-6416-4808
keenfootwear.com
KEEN公式YouTubeチャンネル